Diary 2005. 12
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12月31日 (土)  久々の更新

長らく更新が滞り気味であった「いろいろなきのこたち」を大幅に更新した.2005年に出会ったきのこを中心に,新たなきのこの紹介ページを多数加えた.また,過去に作成したページの誤りや,画像をかなり修正した.昨日から今日にかけて大量の画像を処理し,htmlファイルを作成したので,手や眼がだいぶ疲れた.やはりこういった作業はこまめにするのがよいのだが,どうしても更新が遅くなりがちなので,年末になってまとめてやることになってしまう.年末ということで,今年見かけたきのこの姿を見直してみると,今年もいろいろなところに出かけ,様々なきのこを観察することができたものである.さて,2005年もあと30分ほどでおしまいである.来年は,どんな場所に出かけ,どんなきのこに出会えるだろうか.


12月30日 (金)  冬の荒川周辺

昨夜,つくばから埼玉の実家に帰宅した.今日は埼玉県川越市から北本市にかけての荒川河川敷周辺を散策した.荒川の中流は,川自体の幅は狭いが,河川敷は広く,水田や畑地などの農地,ゴルフ場やヘリポートとして利用されているほか,クヌギ林,ハンノキ林や竹藪が散在している.比企郡川島町の河川敷内には,昔の荒川の流路が湖として取り残された三日月湖(河跡湖)がある(画像1).周囲には多少の湿り気もあるのではと思い,三日月湖の付近に広がるクヌギの疎林を歩いてみたが,どこもカラカラに乾燥しており,マンネンタケ(画像2)やコフキサルノコシカケなどの硬質菌が見られたのみであった.川島町から荒川を越えて桶川市を北上し,北本市の北本自然観察公園(画像3)にも立ち寄ったが,ここでもスエヒロタケや硬質菌をのぞいては,きのこは全く観察されなかった.今日は鳥見の人たちがたくさん訪れており,湿地に飛来するカモ類やワシタカ類の観察を熱心にしていた.

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12月29日 (木)  Calvatia pyriformis

Calvatia pyriformis (Lev.) Berk.はインドネシアのジャワ島から記載されたノウタケ属の一種で,子実体の外見は,日本の関東以南から知られるオオノウタケC. boninensis S.Ito & Imaiととてもよく似ている.しかし,C. pyriformisとオオノウタケは,顕微鏡的には以下の点で区別されるので,別種である:胞子がC. pyriformisは類球形から楕円形であるが,オオノウタケは広楕円形,楕円形から円筒形である.また,C. pyriformisは弾糸にある小孔の直径が大きく.不規則な円形であるが,オオノウタケでは小孔は小型,球形である.ところで,C. pyriformisのシノニムとして,C. gardneri Berk.の名が挙げられている.その昔,小林義雄・今関六也両先生は,ノウタケC. craniiformis (Schwein.) Fr.をC. gardneriの学名で発表していたので,Kreisel(1994, Feddes Repert. 105: 369-376)には,C. pyriformisが日本にも分布していることになっているが,おそらくこれはノウタケかオオノウタケの誤りであろう.とにかく,ノウタケ,オオノウタケ,C. pyriformisの3種はとてもよく似ており,外見からは区別できない.識別には顕微鏡観察が不可欠である.分布学的には,ノウタケは主に暖温帯(稀に熱帯にも産する)から亜寒帯に,オオノウタケは暖温帯から熱帯に,そしてC. pyriformisは熱帯に分布するという特徴がある.


12月28日 (水)  プリンタ

今日の日中は年賀状の作成,投函に追われた.幸い,今年はプリンタが壊れることも,インクがなくなることもなく,順調に作業を進めることができた.いつも,プリンタというものは年末になると壊れる傾向があると思う.12月はプリンタの売上高が一年でもっとも多い時期のようだが,年末になるとプリンタが壊れるように,あらかじめ設定されているのではと疑ってしまう.今日は御用納めで,一般企業や官庁は今年最後の仕事日だったようで,郵便局前は大渋滞だった.これからアルバイト先の塾で,今年最後の授業である.年明けになると,すぐにセンター試験や私立高校の入試が控えている.受験生にとっては,気を抜けない正月休みに突入することになる.


12月27日 (火)  タマノリイグチ

珍菌,タマノリイグチの乾燥標本を観察する機会を得た.富山県中央植物園に収蔵されている標本で,東京都八王子市の公園内で採集されたものという.直径20mmほどの小さなツチグリと思われる腹菌の上に(画像1),かさの径が35mmほどのイグチの子実体が2本生えている(画像2).ツチグリとおぼしきhostの腹菌を割ってみると,中には茶褐色に成熟した,粉状のグレバが詰まっていた.さらに見てみると,ツチグリの胞子や偽弾糸が多数見られたので,hostはツチグリで間違いないようだ.八王子市内のこの公園には,タマノリイグチが定期的に発生するようである.来年の夏あたりに,出かけてみることにしよう.それにしても,ツチグリに寄生するというタマノリイグチの生活史は,なかなか興味深い.どうやってツチグリに寄生し,養分を吸収するのだろうか.培養して,ツチグリに接種する実験ができないかな.

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12月26日 (月)  大掃除

今日は研究室の大掃除.朝からみんなで実験室,天秤室,標本室などの掃除をおこなった.今年は研究室のメンバーの人数が多いので,大掃除も順調に進み,昼過ぎには終えることができた.今日は学部4年生の卒論提出日なので,4年生は大忙しである.午後は,新しく研究室に入った新型の顕微鏡の説明会,夕方は忘年会がおこなわれる.しかし今日のつくばは風が非常に強い.せっかく窓ガラスを掃除したのに,すぐに砂埃が付着してしまう.


12月23日 (金)  菌懇会例会

今日は川崎市青少年科学館での菌懇会の例会に参加してきた.今年最後の例会ということで,今日の例会では,2005年のきのこにまつわるスライド上映がおこなわれた.6名の菌懇会のメンバーにより,いろいろなきのこのスライドが紹介されつつ,話題提供がなされた.ツノシメジやホシアンズタケは,関東周辺では日光や中部地方の山岳地帯で見られるきのこで,今日も複数のスライドを見ることができたが,どちらの子実体もなかなか芸術的で美しい形態をしている.わたしはツノシメジはまだ観察したことがない.来年は少し,関東周辺の山も歩いてみたいところである.ルリハツタケは,名前の通り青色を帯びた美しいハツタケの一種であるが,西日本では照葉樹林に比較的よく観察されるという.ルリハツタケも,ぜひ一度,この目で見たいと思っていながら,今まで出会えていないきのこである.関東にも生えるという話なのだが,どうだろうか.今日のスライド会では,わたしも一番最後の末席に加えていただき,腹菌や先日のタイ調査の画像を数枚紹介して,お茶を濁した.良くも悪くも,6名の発表者それぞれの個性が生かされた,興味深いスライド上映会で,刺激を受けた一日だった.帰り際,新宿で少し買い物をするために途中下車したが,今日はクリスマス直前ということで,小田急周辺はどこもかしこも大混雑であり,プレゼント商品が飛ぶように売れていた.


12月22日 (木)  きのこワンダーランド

今日は午前中,千葉大学真菌医学研究センターで,鳥の巣穴のカビについて,少しだけ残っていた実験をした.千葉大での実験は今年は今日で最後である.来年も細々と,この実験は継続する予定である.午後は千葉県立中央博物館に立ち寄った.博物館では,企画展「きのこワンダーランド」展が今月25日まで開催されている(画像1).わたしはすでにこの展示は見学したが,終了前にもう一度みておこうということで,再度,企画展を見学してきた(画像2, 3).特に目を引くのが,大作晃一氏によるきのこ写真と,いろいろなきのこグッズコレクションである.また,ヨーロッパの菌類図譜の稀覯本の展示も興味深い.世界各地のマツタケや,去年話題となったスギヒラタケの缶詰,またメシマコブやライガンキンといった,食用きのこ・薬用菌類の標本展示も目を引くものである.様々な切り口から,きのこにまつわるトピックスが豊富な資料とともに紹介されており,楽しく見学することができた.

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12月21日 (水)  とげ?いぼ?

数点のタイ産の腹菌類標本をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察した.ここには,Morganella fuliginea(画像1),Lycogalopsis solmsii(画像2),Radiigera sp.(画像3)の胞子画像を示した.これらは,いずれも光学顕微鏡で観察すると,表面に疣状の突起が認められた菌である.しかし光顕では,表面の突起が疣なのか,それとも刺なのか,今ひとつはっきりしない.SEMで見ると,M. fuligineaの胞子表面は,長い刺に覆われているのがよくわかる(画像1).まるで長い刺を持つ有毒のウニ,ガンガゼのようである.一方,L. solmsiiとR. sp.の胞子表面には,少なくとも刺ではないが,疣とも言い切れないような,微妙な突起がある(画像2, 3).英語で表現すると,おそらくどちらもverrucoseということになるのだろう.疣だ,と言えばそれまでだが,特にL. solmsiiの方は,微妙に刺のような感じもする.刺状突起の場合は,M. fuligineaのように明らかに刺と断定できることも多いが,疣状突起の場合は,疣なのか刺なのかの判定に苦慮する場合も多い.光顕観察ではなおさらだが,SEM観察をしてみても,疣と刺の区別は結構,むつかしい.

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12月20日 (火)  Mycotaxon

現在,菌類分類学に関する国際雑誌Mycotaxonに投稿するための論文を1つ,執筆している。テーマはインドネシアのノウタケ属菌に関するもので,今年のハワイでの日米合同菌学会大会で発表したものを追加修正した論文である。しかし,Mycotaxonの原稿作成は異常に面倒くさい。自分で何から何までやらなくてはならない。書式,レイアウトの統一はもちろん,図版もそのまま製版できるように組まなくてはならないし,査読の依頼も自分でする必要がある。非常に面倒くさいが,編集作業の方はこれでずいぶんとコストダウンできているのだろう。また,査読も自分で依頼するとなると,あまりいい加減なことばかりしていると,後ろ指をさされるのは結局,著者自身ということになる。その意味では,論文の著者は執筆時から編集作業が終わるまで気を抜けないので,緊張感があってよいのかもしれない。


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